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※手術の写真を掲載しておりますので、
苦手な方はご注意ください。

猫ちゃんの生まれつきの病気の話

今回は猫ちゃんに起こる生まれついての異常についてお話しします。
自分は心臓の専門医として、AMC白金台と目白通り高度医療センターで診察を実施している井口と申します。
自分自身、生まれついての(先天性)心臓病を疑うために、引き取り手のいなかった猫ちゃんを2頭保護し、現在家で一緒に生活しております。

 二人とも心臓に雑音という異常な音が聞き取れてしまったため、ペットショップで売れ残り行き場を失った猫達です。
心臓に異常な音が聞こえる場合猫だと半分程度、雑音の大きさが大きい場合はほとんど100%に近いくらい心臓病があります。
残念ながらうちの二人も本当に心臓病を持っています。
一人は心室中隔欠損と言って、心臓の壁に穴が空いてしまっている病気を持っています。
もう一人診断した結果、肥大型心筋症という先天性ではない病気でした。猫ちゃんの心臓病は診断が難しいというのも特徴です。
   
先天性の心臓病といってもあまりピンとこないかもしれませんが、猫の先天性の心臓病は意外と多いのです。
確率的には猫の心臓病の5〜12%(海外の大学調べ)だと言われています。
当院での心臓病の相談が数百件来る中での10%程度とすると30頭くらいは年間先天性の心臓病が来ていることになります。
心臓の弁に生まれつき異常がある病気や、心臓の壁に穴が空いている病気、心臓の出口が狭くなってしまう病気など、たくさんの病気が存在します。
(画像は心臓の弁に生まれつき異常がある子猫ちゃんです)
生まれついての病気で怖いことは、症状が出ていないことです。一見元気な子猫ちゃん達の中に実は重たい心臓病が混ざっています。
そして避妊手術や去勢手術の前に発見されることが多いです。
しかし、もし手術前に発見されなかった場合にはどうなるでしょうか?
 その場合は実は危険なことが多く、最悪の場合手術の麻酔により亡くなってしまうこともあるそうです。
当院では手術前には絶対に心臓を評価するため、心臓病がある場合にはまず心臓病の治療を優先します。
麻酔をしなくても心臓はすでに頑張っており、限界いっぱいということもあるので麻酔を実施することは非常に繊細なのです。
  かわいい子猫ちゃんを自宅に迎え、避妊去勢手術を検討されている場合、ぜひ一度当院へご相談いただければと思います。


執筆担当:獣医師 井口
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