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※手術の写真を掲載しておりますので、
苦手な方はご注意ください。

ケンネルコフ(犬伝染性気管気管支炎)
●ケンネルコフ(犬伝染性気管気管支炎)とは
発咳を主徴とする急性の上部呼吸器感染症です。
飛沫や直接接触により伝播するため、保護施設やペットショップなど多頭飼育の環境下で流行し、1歳未満の若い個体での発生が多いです。
●原因
原因となる病原体は、古典的には
①犬パラインフルエンザウイルス
②犬アデノウイルス2型
③気管支敗血症菌(Bordetella bronchiseptica)
の3つが挙げられます。
①犬パラインフルエンザウイルスと②犬アデノウイルス2型は混合ワクチンの接種により予防することが可能です。
近年上記に加え、犬呼吸器コロナウイルスや犬ヘルペスウイルスなど、複数の種類の病原体が関与することが明らかとなっており、
これらの病原体の単独または複合感染により、ケンネルコフが引き起こされています。

●病態
潜伏期間は約3〜10日であり、最も特徴的な症状は『乾性咳』と呼ばれ、運動時に悪化する傾向にあります。
また声帯の炎症を伴うと、鳴き声がかすれたり、発咳時に”ガーガー”という呼吸音が認められたりすることもあります。
鼻汁やくしゃみ、発熱などを伴うこともありますが、多くの場合は活動性や食欲などの一般状態は良好なことが多いです。
二次的な最近感染が起こると、分泌物が増加し、乾性の咳から湿性の咳へと変化が見られます。
粘性の鼻汁や眼脂なども生じ、さらに気管気管支炎に進行すると、食欲減退や活動性の低下、
呼吸促迫、呼吸困難を呈する場合もあります。
●診断
飼育環境や特徴的な臨床症状から本疾患を疑います。
血液検査では異常が見られず、胸部レントゲン検査でも正常または軽度の気管支パターンの所見のみがみられることが多いです。
病原体の特定には鼻腔スワブや咽頭スワブによる遺伝子検査、病原体に対する抗体価測定による血清学的検査などがあります。

●治療
多くの場合は自然治癒することが多く、適度な温度と室温で管理し、運動を控えて興奮させないよう安静に過ごします。
細菌感染が疑われる場合や感染を予防するためには抗菌薬の投与が行われます。
通常治療開始から7〜10日程度で回復しますが、治療は2週間程継続します。
発咳の程度により、気管支を拡張させるお薬や咳止めのお薬も一緒に投与する場合もあります。
また、気管や気管支の過剰な分泌物を取り除くためにネブライザーによる噴霧吸入を行うこともあります。
●おわりに
ケンネルコフは自然治癒する病気ではありますが、放置してしまうと症状が悪化してしまう恐れがあります。
『元気食欲はあるけれど咳が止まらない、、』など病院に連れていくか迷われた場合は一度ご来院、ご相談頂ければと思います。

執筆担当:獣医師 平井

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