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※手術の写真を掲載しておりますので、
苦手な方はご注意ください。

皮膚糸状菌症の猫の一例
皮膚糸状菌はカビの仲間である糸状菌が感染し皮膚に痒みや脱毛を起こします。また、人との共通感染症でもありペットオーナーをはじめ衛生学上も注意が必要な疾患です。
1歳齢以下の若齢の猫では比較的よく発症し、足先、耳や頭部などの部分的な脱毛、場合によっては全身的な脱毛やフケ(鱗屑)と痒みが起こることもあります。

●診断
被毛検査で直接顕微鏡上で菌を検出する方法や、特殊な紫外線光(ウッド灯)をあてて反応を検出する方法、培地上で糸状菌が培養されることを確認する培養検査、被毛に付着している菌を遺伝子的に解析し診断するPCR 法などがあります。

●治療
抗真菌薬の内服による治療が最も有効ですが、肝臓に負担がかかる薬ですので、局所の病変の場合は外用薬を用いたり、水を嫌がらない子では抗真菌薬を含有するシャンプーによる薬浴を行うこともあります。可能であれば患部の毛刈りが有効です。
治療期間は比較的長めにかかることがあり2~8週間かそれ以上に及ぶ場合もあります。免疫に異常などのない子では適切な治療に反応し、良くなっていくことがほとんどです。

●環境、人への対策
先にも述べました通り、皮膚糸状菌は人にも感染します。小さなお子さんや高齢者のご家族には特に注意が必要です。猫を触った後に手洗いなどをすることはもちろん、環境中にある被毛なども感染源となるため徹底した消毒が必要です(床、壁、エアコンフィルター、ベッドや毛布、ブラシ、バリカンなども)。塩素や過酸化水素水による漬け洗いが有効で、アルコールによる消毒は無効です。人では腕などに赤い円形の皮膚病変ができ、痒みを伴います。症状が現れた場合には適切に皮膚科などを受診してください。

●症例
スコティッシュフォールド1歳去勢雄 両耳と首回りをかゆがるとのことで来院。体幹背側は全体的にフケと脱毛が見られ、鼻吻部に局所的な脱毛が見られた(写真)。PCR検査では糸状菌Microsporum canis陽性であった。抗真菌薬のイトラコナゾールを内服、シャンプーも自宅で開始したところ2週間で非常に良好な結果が得られ、4週間内服を終えたところで皮膚被毛の状態が回復した。

文責 獣医師 喜多見賢二
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