犬と猫の高血圧について
犬も猫も高血圧になることがあり、慢性の高血圧はその悪影響が身体に及びます。人でいう「血圧の上が〇〇」の上に相当するのが収縮期圧を指し、犬と猫ではこの収縮期圧が概ね150㎜Hg以上になると高血圧によるリスクが発生すると考えられています。
高血圧はいくつかの病気により引き起こされます。代表的には心臓病、腎不全、副腎皮質機能亢進症(犬)、甲状腺機能亢進症(猫)などです。また、高齢のワンちゃんは病気でなくとも少しずつ血圧が上昇することもあるようです。いずれも老齢(8歳以上)の子には注意が必要と言えそうです。
高血圧に起因する障害は一般的に標的臓器障害(Target Organ Damage)と呼ばれます。標的臓器すなわち問題が起こる場所と症状は以下のようにまとめられます。
血圧の測定
腕や尾にカフと呼ばれる帯状の腕帯をセットし、5回以上を連続して計測し、平均的な測定結果を採用します。興奮時や運動後は避け、出来るだけ安静の状態(動かない状態)で測定します。とは言え、たいていは緊張や興奮で正確に測定することが困難な場合も多く、一回の測定で結論が出ない場合には日を分けて複数回測定することで信頼性のある結果が得られるようにします。
高血圧の治療
血圧そのものを下げるには降圧剤(血管を広げたり、利尿により血圧を下げる働きがある薬)を用います。犬猫の高血圧は通常二次性であり、背後にある基礎疾患を同時に治療することがとても重要です。腎疾患、心疾患、ホルモン病などを適切に治療することが血圧をコントロールすることにつながります。
高血圧は明らかな障害を呈するもの以外、初期のものなどでは症状に乏しく、外観では認識されにくい病態と言えます。高齢の子は検診の際に血圧測定を習慣化しておくと、測定自体に慣れることで安定した結果が得られ、健康な状態の数値を知り、病気のサインを見逃さないことにつながると考えられます。
文責 獣医師 喜多見賢二
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