犬と猫の糖尿病
●糖尿病とは
糖尿病とは、血液中の糖(グルコース)が異常に多くなってしまう病気です。
血糖値を下げるホルモンである「インスリン」が出なくなる、あるいは効かなくなることにより血液中の糖が多くなってしまい、結果的に尿中にまで糖が出てきてしまいます。
病態により主に以下の2つの型に分類されます。
・1型糖尿病:インスリンが出なくなるタイプ。犬猫ともに多い
・2型糖尿病:インスリンが効かなくなるタイプ。猫で見られる。犬は少ない。
●インスリンとは
インスリンは血糖値を下げる働きをもつホルモンで、膵臓から血液中に分泌されています。食後など特に血糖値が上がる時間帯には多く分泌されており、血液中の糖を全身の細胞に取り込ませることで、血糖値を下げる方向にコントロールしています。
このインスリンが分泌されない効かないとなると、体内の重要なエネルギー源である糖(グルコース)を上手く利用できなくなります。
●原因
・1型糖尿病の原因
膵炎や自己免疫疾患などの炎症によりインスリンを作る細胞(膵臓の膵島β細胞)が壊されることに起因します。2型糖尿病が進行して1型糖尿病に移行する場合があります。
・2型糖尿病の原因
肥満などの生活習慣や他のホルモン疾患などによりインスリンが効きにくい状態(インスリン抵抗性 )になることが原因です。
●症状
以下のような症状がよく見られます。
・多飲多尿:おしっこの量が増えるため、よく水を飲むようになります。
・多食
・体重減少
・白内障:犬で起こることがあります。
・末梢神経障害:踵を着地させて歩くのが特徴的です。猫で起こることがあります。
●糖尿病性ケトアシドーシス
糖尿病性ケトアシドーシスは緊急的な状態です。
糖尿病は血液中の糖をエネルギーとしてうまく利用することができないため、全身の細胞は常にエネルギー不足状態にあります。
そこで身体は脂肪を分解して臨時のエネルギー源である「ケトン体」を大量に作り出します。こうなると身体のpHバランスが大きく崩れたり重度の脱水が生じて、グッタリした状態になります。速やかに治療を開始できず病状が進行すると意識を失ったり、生死に関わる状況になります。
●診断
血液検査で異常な高血糖や尿検査で尿中の糖(尿糖)が認められ、そのほかの類似した病気・状態を除外していくことで診断を確定します。
除外診断のため血液検査のみならず、レントゲン検査や超音波検査などを組み合わせて広く精査していく必要があります。
●治療
治療の目標は、インスリン注射で高血糖を改善して適切な血糖値維持することです。
食事療法を併せることで、血糖値が緩やかになるようにします。
●おわりに
今回は犬と猫の糖尿病について紹介させていただきました。
本疾患は、生活習慣が原因で発病することもあり日頃からの体調管理が重要です。
定期的な血液検査等を含めた健康診断はさまざまな病気の早期発見に重要です。また毎日の生活習慣のチェックとしても良い機会ですので、半年〜1年に一度は愛犬・愛猫の健康診断を受けてみましょう。
当院では、ドッグドック・キャットドックやその他の健康診断プランをご用意しております。
お預かりでの検査も可能であり、飼い主様のご都合・ご希望に合ったプランをご案内いたします。